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AIの急速な発展に伴い、膨大な電力を消費するデータセンターの需要が急増しています。このエネルギー問題を解決するための画期的なソリューションとして、電気自動車(EV)の使用済みバッテリーを再利用した大規模エネルギー貯蔵システム(マイクログリッド)が注目を集めています。
ネバダ州で稼働を開始したこのプロジェクトは、再利用された輸送用バッテリーを使用した世界最大のエネルギー貯蔵システムであり、北米で稼働する最大のマイクログリッドのひとつです。このシステムは、63メガワット時の容量を持ち、AIインフラ企業Crusoeの2つのモジュラーデータセンターに電力を供給しています。
このプロジェクトを率いるのは、テスラの元チーフテクノロジーオフィサー(CTO)であるJBストラウベル氏が2017年に設立した電池リサイクル企業、Redwood Materialsです。同社は、持続可能なクローズドループサプライチェーンの構築を目指しています。
電気自動車のバッテリーは、車両としての寿命を終えても、多くの場合、元の容量の50〜80%が残っています。従来、これらのバッテリーはリサイクル処理される運命にありましたが、Redwood Materialsはそれらを回収・評価し、まだ有用な容量が残っているバッテリーパックを選別。エネルギー貯蔵用として「セカンドライフ」を与えることに成功しました。
このアプローチには、以下のような利点があります:
異なるメーカーやモデルから集められたバッテリーパックは、状態や容量がまちまちです。この課題を克服するため、Redwood Materialsは「ユニバーサル・トランスレーター」と呼ぶ独自のパワーエレクトロニクス技術を開発しました。
この技術により、容量が20%しか残っていないバッテリーも、90%残っているバッテリーも、同じシステム内で協調して動作させることが可能になりました。システムは各バッテリーパックを秒単位で監視し、寿命が尽きたり故障したりしたものは、フォークリフトを使って約30秒でホットスワップされます。
安全性の管理も最重要課題です。熱暴走(サーマルランaway)のリスクを passively(受動的)に管理するため、バッテリー間の間隔を広く取り、能動的な監視システムと組み合わせる設計が採用されています。
AIの需要はとどまるところを知りません。試算によれば、2028年までにデータセンターだけで米国電力消費量の12%を占める可能性があります。既存の電力網では、この急増する需要に迅速に対応することは困難です。
このような中、迅速に導入可能で、再生可能エネルギーを24時間安定供給できるマイクログリッドは、データセンター事業者にとって極めて魅力的なソリューションとなっています。特に、都市部から離れた「エッジ」地点や、既存データセンターの拡張において、その真価を発揮します。
Redwood Materialsは現在、自社の在庫だけで1ギガワット時以上(約12,500台分のEVに相当)の再利用可能なバッテリーを保有しており、今回のパイロット事例の10倍規模に当たる100メガワット級の大規模プロジェクトも計画中です。
エネルギー貯蔵市場はテスラの「Megapack」などの既存製品がリードしていますが、専門家は需要が非常に大きく、新規参入者の余地は十分にあると見ています。再利用バッテリーを使ったシステムは、コストを最優先する顧客や、より小規模なプロジェクトにおいて強みを発揮すると予想されます。
Redwood Materialsの強みは、バッテリーリサイクルから得た深い知見と、サプライチェーンを自社で管理する「循環性」にあります。GMをはじめとする自動車メーカーもこの動きに注目し、協業の動きが始まっています。
使用済みEVバッテリーのエネルギー貯蔵への転用は、一石三鳥のソリューションです。
このモデルが規模を拡大すれば、将来のエネルギー貯蔵ミックスの重要な一角を担う可能性があります。それは、AIの成長を持続可能な形で支える、未来のインフラの姿のひとつと言えるでしょう。