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テキサス州アビリーンで進む「Project Stargate」は、OpenAI、SoftBank、Oracleが共同で5000億ドルを投資するAIインフラ計画だ。人類史上最大のインフラ建設とも呼ばれるこのプロジェクトの現場を独占取材。AI革命を支える超巨大データセンターの実態と、それがもたらす社会変革の可能性を徹底解説する。
Stargateは、OpenAIのCEOサム・アルトマン(Sam Altman)が主導するAIインフラ計画。2024年6月にテキサス州アビリーンで建設が始まり、2026年半ばの完成を目指す。総投資額は最低5000億ドル(約80兆円)で、8棟の施設に40万枚のGPUチップを設置。OpenAI、ソフトバンク(SoftBank)、オラクル(Oracle)が共同出資し、初年度だけで1000億ドルを投じている。ソフトバンクの孫正義(Masayoshi Son)会長は「AGI(汎用人工知能)が人類の生活を変える」と確信し、投資を決断した背景を明かした。
アビリーンサイトは「Project Ludicrous」(荒唐無稽な速度)と名付けられ、1200エーカー(約485万平方メートル)の敷地で24時間体制の建設が進行中。2024年6月時点では未開拓地だったが、現在は2200人の作業員と155台の重機が稼働。クルーソー(Crusoe)の創業者チェイス・ロックミラー(Chase Lochmiller)は「史上最速のデータセンター建設」と説明する。背景には、Microsoft、Meta、Googleらが世界で繰り広げるAIデータセンター建設競争がある。
施設内部では、NVIDIAの最新GPU「Blackwell」を搭載したラックが設置される。従来のデータセンター(CPU中心)と異なり、GPUはAI処理に特化。1ラックあたりの消費電力は20年前の約65倍(130キロワット)に達する。冷却には閉鎖式水循環システムを採用。1回の充填(約100万ガロン)で永続的に運用可能だ。
Stargateの電力需要は1.2ギガワット(75万世帯分)。アビリーンを選んだ理由は風力発電が豊富なためだが、バックアップ用のガス火力発電所も建設中。AIデータセンター全体では、2035年までに米国電力の8%以上を消費すると推定される。ロックミラーは「2030年のネットゼロ目標は現実的でない」と指摘。一方で、AIが原子力や地熱などの新エネルギー開発を加速するとの見解を示した。
アビリーン市は税収増加を見込み、プロジェクトを歓迎。ウェルドン・バート市長は「15%の税収でも道路整備や警察増員に活用できる」と語る。一方、地元住民の反応は分かれる。
プロジェクトの成否は国際供給網に依存。GPUチップは台湾や韓国で製造され、中国を経由して集積される。元外交官のアンジャ・マニュエル(Anja Manuel)は「米中の関税戦争がコスト増と不確実性を招く」と指摘。ソフトバンクの孫氏も「WeWorkの失敗から学んだ」とリスクを認めるが、OpenAIのアルトマンは「需要が供給を上回る」と楽観視する。
アルトマンは2025年を「AIエージェントが日常業務を代替する転換点」、2026年を「科学的発見が加速する年」と予測。一方、DeepSeek(中国AI企業)の効率的なモデルが「過剰投資リスク」を浮き彫りにした。ロックミラーは「効率化が進んでも需要は増大する」と反論。Stargateは、インターネット高速道路に例えられる新たなインフラとなり、ビジネスや科学のパラダイムを変革すると期待される。
※本記事は現地取材に基づく。数値や計画は2025年時点の情報であり、変更される可能性がある。