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世界のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置の100%を独占するオランダのASMLが、次世代「High NA」マシンを投入。1台400億円という史上最高価格の装置が、AI時代の半導体製造を支える最前線を徹底取材。
オランダ・フェルドホーベンのASML本社クリーンルームでは、二階建てバスを超える巨大装置が厳重に管理される。40年間の技術開発の集結であるHigh NAマシンは、人間の毛髪や皮膚細胞さえも許容されない超清浄環境で組み立てられる。
装置の輸送にはボーイング747貨物機7機分の容量が必要で、完成後の分解・再組み立てには25-30台のトレーラーを要する。各ユニットは米国コネチカット、ドイツ、オランダ、カリフォルニアで製造され、最終的にベルギーで統合される。
EUV光(波長13.5nm)は空気中でも吸収されるため、装置内部は真空環境が必須。特殊な錫(スズ)滴を毎秒5万回の高周波で照射し、太陽表面温度を超えるプラズマを発生させる。この際に生じる極端紫外線を、ツァイス製の「世界最平坦な人工鏡」で反射制御する。
精密制御の比喩:「月面から地球の硬貨を狙うレーザー照射と同等の精度」(TSMC技術者談)
従来の低NAマシンでは微細化が進むにつれ、1つのチップ層に複数回の露光が必要だった。これに対しHigh NAは大口径レンズにより、ナノレベルのパターンを単一露光で転写可能に。これにより:
インテル拠点では既に30,000枚のウェーハ生産実績があり、装置信頼性が従来比2倍と報告されている。
High NAの大型化は光学系の物理的制約に起因する。高NA化には大口径ミラーが必要で、装置サイズが倍増。これに伴い:
米国輸出規制により、ASMLのEUV装置は中国への出荷が禁止されている。これに対し:
米国市場ではインテル(オハイオ/アリゾナ新工場)とTSMC(アリゾナ工場)向けに需要が拡大。これを受けASMLは初の米国内トレーニングセンターをアリゾナ州に開設し、年間1,200名の技術者育成を計画している。
ASMLは既にHigh NAの次世代機「Hyper NA」の開発に着手。2032-2035年の実用化を目指し:
ASML CEOクリストフ・フーケの見解:
「半導体微細化が続く限り、リソグラフィ技術の進化は不可欠。High NAがAI時代の基盤を支え、Hyper NAがさらに次の世代を切り開く」